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令和4年度改正 納税環境整備【税務レポート】

令和4年度改正 納税環境整備

解説:日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 座間 昭男

令和4年度税制改正では、大きな改正はなく、納税環境の整備といった改正が目につきます。

Ⅰ 電子帳簿保存法の電子取引の保存義務化に関する制度

令和4年1月1日から電子取引データで授受した請求書や領収書等について、書面での保存は認められず、電子データでの保存が義務化される予定でしたが、2年間の猶予期間(令和5年12月31日まで)が設けられることとなりました。

猶予に当たっては、やむを得ない事情があり、かつ税務調査時に出力書面での提示等が要件となっています。
システム導入や社内手続きの整備が間に合わないといった声が多く上がっており、現在導入・整備を進めている事業者は、やむを得ない事情があるものとして2年の猶予期間内に当制度に対応ができれば問題は無いと考えられます。

Ⅱ 記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応策

(1)証拠書類のない簿外経費の対応(悪質な納税者の簿外経費の否認)

所得税及び法人税の税務調査において、証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者などへの対応策として、必要経費不算入・損金不算入の措置が講じられます。

事実の仮装・隠蔽がある又は無申告の年分(事業年度)において、確定申告における所得金額の計算の基礎とされなかった間接経費の額(原価の額、費用の額及び損失の額)は、次の場合を除き、必要経費(損金の額)に算入されないことになります。

①間接経費の額が生じたことを明らかにする帳簿書類等を保存する場合
②帳簿書類等により取引の相手先が明らかである・取引が行われたことが推測される場合であって、反面調査等により税務署長がその取引が行われたと認める場合

財務省HPより

※納税者が個人の場合は、令和5年分以後の所得税について適用し、納税者が法人の場合は、令和5年1月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用します。

(2)帳簿の提出がない場合の過少申告加算税等の加重措置

所得税、法人税及び消費税の税務調査において、帳簿の提出の求めがあった場合において、次のいずれかに該当するときは、通常課される過少申告加算税・無申告加算税の割合に、10%加重(下記②については、5%加重)されます。

記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履行を担保するため、帳簿の不保存や記載不備を未然に抑止するため、過少申告加算税・無申告加算税の加重措置が講じられます。

①不記帳・不保存であった場合(提出をしなかった場合)
②提出された帳簿について、収入金額の記載が不十分である場合(記載が著しく不十分である場合は①と同じ)

※令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

Ⅲ 財産債務調書制度の見直し

財産債務調書については、これまで所得が2000万円を超え、財産が3億円以上(有価証券等1億円以上)の場合に提出することとされていました。
しかしながら、所得が少なくても多額の財産を有している場合もあることから、所得金額に関係なく、保有財産が10億円以上である者も、現行の提出義務者に加えて、調書の提出義務を課すこととされました。
また、保有財産の種類、数量、価額などを正確に算出・記載することは難しいことです。そのため提出期限は翌年6月30日までと延長されました。

Ⅳ 修正申告書等の記載事項の整備

修正申告書及び更正請求書の記載事項から、その申告前又は更正前の課税標準等、納付すべき税額の計算上控除する金額及び還付金の額の計算の基礎となる税額が除外され、記載が不要となります。

所得税の修正申告書については、これまで第5表を用いていましたが、令和4年分の申告に係る修正申告から、第5表は廃止されます。
行政手続きデジタル化3原則の一つであるワンスオンリーに基づいた改正です。

Ⅴ・最後に

令和4年度改正では、前記の他に、コロナ後の社会を見据えた、税理士の業務環境や納税環境の電子化といった、税理士を取り巻く状況の変化に対応(業務の電子化)とともに、多様な人材の確保(税理士受験資格要件の緩和)や、納税者の税理士に対する信頼と納税者利便の向上を図る観点から税理士制度の見直しも行われています。

納税環境の整備に関する改正については、税理士等が関与している場合は、特に問題になるようなものは見当たりませんが、ご不明な点がございましたら、ご相談ください。

2022年7月1日

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日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 座間 昭男

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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